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『着物と袴…、それと、揃いで夏の浴衣を作ってくれるか?』
そう忍は言って、反物を幾つも選んでいった。
「俺とお前だけで作れば、アイツが拗ねそうだな。
玲の分もか…」
クスクス笑い、二人で反物を選ぶ。
そういった時間も、瑠維にとって至福の時間だ。
忍が穏やかに微笑み、瑠維を魅了する。
『何だよ、もう…っ。
こんな蕩けそうな顔されたら、どうにかなっちゃうって…』
ドキドキする胸を必死で抑え、肌の色に合わせて布を選んでいく。
反物も帯も、上質のものばかりが瑠維と忍の間に積み重なる。
二人が自宅で寛ぐときの服やパジャマなら、沢山作って来た。
普段は着ない特別な服を仕立てることができる…。
なんて…、なんて幸せなのだろう………。
襦袢用の布まで揃えたため、布と反物が山のようになり、とても持ち運べる量ではなく、家への配達を頼む事にして二人は呉服店を後にした…
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