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忍の車は高台へと走る。
先程の一件で逆上せた瑠維がシートに沈みこんでいるので、少しだけ窓を開けている。
雪国の短い夏を予感させる爽やかな風が入ってきて、二人の髪を靡かせた。
「…………っふ…」
途中のコンビニで買ったミネラルウォーターのボトルを頬に当て、くったりしたままの瑠維。
紅く染まった目許が、知らず知らずの内に忍を煽っているなど、気付いてもいないのだろう。
伏せられた睫毛の影すらも、微かに色香を帯びていく。
「大丈夫か…?」
「はぁう…っ!!」
熱い額に手を置くと、華奢な躯がビクリと跳ねた。
スル…っ。
「………っう………ふ…ぁ…っ」
ツツ…。
「……ひ……あ………っ」
頬や首筋を伝う指に躯の反応が止まらない。
右手でハンドルを操作しながら、左手は瑠維を煽っていく。
「……っ、やっ、…………んあ…っ」
体を捩って逃げようとするが、シートベルトをかけているせいで逃げる範囲が限られる。
漸く信号待ちで視線を向けてきた忍に、瑠維は潤んだ瞳を向けた。
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