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「…………っ、ぷは…」
漸く唇が離れ、鼻だけじゃなく口からも酸素が雪崩込むように入ってきた。
「っは、……はぅ…っ、はっ、はっ、はっ、は…っ」
ハグハグ喘ぎ、必死で空気を取り込む。
フワ…。
「…あ………、ん………っ」
忍の肌の香りが瑠維を包み、体の芯が疼いて止まらない。
力がどんどん抜けていき、逆らうこともできないまま、快楽の奔流へと堕ちていく。
シャツの釦を外しながら、忍は瑠維の首筋に口づける。
チュ。
「………あ……っ」
………チュ。
「…ひぁ……っ!!」
白磁の肌に散る紅の花びら。
薄い紅、濃い紅…。
瑠維の香りは、肌のあちこちに息づいた花びらからホワリと立ち上るようだ。
魅了してやまない…甘やかな香り…。
「しのぶ……、しの…ぶ…」
鈴音の声は、あたかも小夜啼きをする夜啼鳥のように忍を呼ぶ。
今は忍だけを求めて愛を囁き、小さな翼を広げて忍を包み込もうとする。
「瑠維。
今日は抑えが利きそうにない。
それでもいいか…?」
ズクリ。
忍の声に衝動で体が跳ね上がる。
「ん…ふ……っ」
フルンと震えながらも、是と頷く。
愛しい伴侶の願いを叶え、甘やかに啼き、たっぷりと蜜を受けるために…。
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