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「昨日、璃音がデスクに置いて行ったんだ。
瑠維が喜ぶだろうからって」
「そ、そうなんだ…」
なんだか、子供っぽいと思われたような気がして俯く瑠維。
「恥ずかしがらなくていい。
こういう綺麗なものを好むお前も好きだからな。
ほら、もっとこっちに来い」
「ん…」
1メートル程の距離で向かい合い、瑠維は畏まって正座をした。
怖ず怖ずとした様子も忍を煽っていくのだと、気付いてもいない。
そういった鈍さも、忍は好ましく思っているのだが。
パシュ…ッ。
小さなバラの花が、手の平で弾けた。
「ん………?」
弾けた後には、甘い香りと共にトロリとした液体が残る。
『瑠維だけじゃなく、お義兄さんたちも楽しめると思うよ』と意味深に言っていたが、このことのようだ。
不思議そうな顔をする瑠維の胸の飾りに、指先で花を押し付ける。
くぷ。
ぱちゅんっ。
「うひゃんっ!!」
胸の飾りに押し付けられて花が弾け、驚いた瑠維が声を上げた。
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