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風呂上がりの瑠維が、不思議そうな顔をして忍を見た。
「ちょっと聞いていい?」
「ん?」
「なんで忍がワイシャツとチノパンで、俺がシャツだけな訳?」
「お前が一番やらし…、いや、一番可愛く見えるからに決まってるだろ?」
妙な言い回しに不審なものを感じたのだろう。
瑠維が小首を傾げた。
「気に入らないなら仕方ない。
せっかくの誕生日なんだから、素っ裸にリボンを巻いた方がいいか?」
「なっ、んなコト言ってねえしっ!!
つか、なんでマッパにリボンなんだよ」
「………実行する気は無かったんだが…、やってみるか?」
「……………」
眼鏡を外したままの忍と目が合い、頭が真っ白になる。
こんな顔をした時の忍は、言った事を実行しかねない。
いや、確実に実行する。
素っ裸にシャツ一枚と、素っ裸にリボンを巻かれるのは、どちらがよりマシなのか。
熟慮する必要もなく、結論は出た。
「……………………………………………いい、…遠慮しとく…」
「遠慮しなくていいのに。
残念だ」
本気で残念がる伴侶に、瑠維は半歩引いたのだった。
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