◇◆◇◆ 　ヒヤリとした何かが額に触れて、意識が表層へと浮上していく。 「…………ん…」 　朧げな視界には忍がいて、瑠維の額や頬を撫でたり前髪をかきあげていた。 　風呂上がりに忍とキスをしていた筈なのに、今二人がいるのは寝室のベッドの上で…。 「忍……？　俺…、どうして…？」 「キスをしてたら気絶したんだ」 「…………誰が？」 「瑠維が」 　狐につままれたような顔をしている瑠維の背中を撫でながら、忍が目を細めて笑う。 「………ご、ごめん、俺…っ」 「何故謝る」 　ベッドまで運ばせてしまったのに怒ってもいないのかと、瑠維はアワアワと慌てても、変わらず背中や髪を撫でてくれる。 「だって、キスしてただけなのに気絶するなんて、有り得ないだろ？ 　俺、俺…っ」 「いいんだ。 　健気に応えてくれて嬉しかったし、ベッドに運ぶくらい何でもない。 　………まぁ、役得としか思わないな」 　チュ。 　クスクス笑いながら額に口づけが落とされる。 「…………………へ？」 　今、なんて言った？ 　嬉しい？ 　役得…………？ 　面倒をかけてしまったのに、怒ってもいないなんてと、瑠維は目をパチクリさせた。