54 / 262
・
空の果てまで突き抜けるように極めた後は、二人で一気に深海の底まで堕ちた。
腕の中で息を詰めて痙攣して煌めく涙を零した瑠維を霞んだ視界に捉え、忍は胴震いしながら残っていた蜜を注ぎ込む。
「…………………………っ、…………は………。
…………………………っふ………………ぅ……」
ようやく呼吸が戻った瑠維は、未だ余韻で体がフルリと震えている。
ゆっくり食いしめていた花筒が綻んでいき…、忍は華奢な体を宥めるように優しく抱きしめた。
チュ。
「……………ん…」
しっとりとなった髪や額、こめかみ、瞼…。
愛しげに落とされる口づけ。
存分に注がれた蜜が粘膜を灼き、口づけは収まろうとする燠火を再び燃え立たせていく。
「ん………っ、ふ……」
応えるように啄み。
甘えるように舌を差し出す。
重なる唇と絡まる舌。
混ざり合う吐息すらも、全てが愛おしくてならない…。
瑠維は美しい筋肉が走る背に腕を回し、忍は官能に翻弄されるしなやかな体を責め立てる。
青い闇に差し込んだ月光に包まれながら、二人は身も心も溶け合わせるように、飽きることなく愛を注ぎあう。
可憐な小夜啼きは、伴侶の熱を煽りたて月が西へ傾くまで室内に響いた…。
ともだちにシェアしよう!