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「すみませんっ、変なとこお見せしてしまって!!
俺……、俺…………っ!!」
「いいのよ、気にしないでね。
玲にギュウッて抱きついてる瑠維さんが可愛く見えて、ついつい見入った私が悪いんだもの」
屋敷森を抜けてきた涼しい風が入るリビングで、半泣きで謝りまくる瑠維を宥めるように、義母は背中を撫でてくれた。
「いえっ、俺…、俺…っ!!」
今にも涙を流してしまいそうな瑠維には大きな猫耳と長い尻尾が似合いそうで、ついつい玲の母は目を細める。
自分が産んだ息子達はどうにも野獣じみているのもあり、小動物っ気のある瑠維が可愛く見えるのだ。
「いいのよ。
なんて言ったらいいのかしらねぇ…。
瑠維さんは玲と違ってケダモノじみてないから、可愛く見えちゃうの。
さっきもギュウッと抱きついてるのが可愛くて、キュンっとなっちゃったわ…。
目の保養なのよねぇ…、ふふ…っ」
上機嫌の義母に、瑠維はどう応えたら良いのか分からない。
そういう物慣れない瑠維を、小鳥遊家の者達は可愛いと思っているとも気づいていないのだ。
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