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「………で、用事って何なんだよ」  ソファにドッカと座った玲が、徐(おもむろ)に口を開いた。 「もう…っ。  久しぶりに瑠維さんの顔が見れたって言うのに、早々と切り出すなんてっ」 「仕方ねえだろ?  せっかく二人っきりで出かけようって思った矢先に電話が入ったんだ。  早めに用事を片付けてえのも分かるだろ?」 「………玲の意地悪」 「うっせ。  夜勤や急患を引き受けまくって、漸くゲットした連休なんだ。  時間のロスは少なめにしてえんだよ」  少々不機嫌なのは、呼び出された事だけではなく、ガレージでディープなキスを邪魔されたせいもあるようだ。  今日はタイミングが悪いと悟り、母は軽くため息をつく。 「玲、言い過ぎ。  そんな言い方したら、お義母さんが悲しい気持ちになるだろ?  お義母さん、すみません。  いつもはこんな言い方しないんですけど…」 「もう…っ、こんな可愛い20代男子ってどういうこと…!?  だめ、お母さん心臓がばっくんばっくんしちゃって、クラクラしちゃう…っ」  無意識に小動物っ気を全開にした瑠維があわあわしながら謝ると、玲の母は一気に萌え転がってしまった。

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