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毎日の様に顔を出す事は難しいだろうから、一週間か十日に一度の割合で顔を見たい…。
玲の母の願いはささやかなものだった。
両親が留守がちな事が多かった瑠維には否やの答えはなく…、玲と忍の二人と相談しながら行き来をすると約束をした。
「ああ、でも…、瑠維さんを独り占めなんて出来ないわねぇ…。
結子さん(忍の母)もきっと…」
「そうですね…。
俺、どちらのお母さんとも仲良くしたいです。
ちょうどあちらの家とも近いから、交互に顔を出してもいいですか?
それで、三人で集まってお茶会みたいにしたりとか………」
荊櫻の子供だからと無茶ぶりは出来ず、だが可愛い嫁には会いたいと、両家の母達はずっと思っていたらしい。
瑠維が話を切り出すと、弓削家と小鳥遊家の間でもとんとん拍子で話が決まってしまった。
「いいのか?
あんまり無茶すんなよ?」
「大丈夫だよ、玲。
俺、いつもおかあさんに優しくして貰えてる。
嫌な気持ちになったこと、一度もないんだ。
喜んで貰えて、凄く嬉しいし…」
穏やかに笑う瑠維に、玲の心臓がバクリと跳ねた。
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