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「玲…、そんなしなくてもいいのに…」 「駄目だ。  こいつら、小動物に目がねえんだぞ?  迂闊に近寄ったら、何されるか分かったもんじゃねぇ…」 「そっかな…。  いつも俺に優しくしてくれるよ?  煌さんも寧さんも、舞さんも、優しい言葉かけてくれるし、困ってると助けてくれる。  考えすぎなんじゃ…?」  水蜜桃のジュースを一口飲み、瑠維は玲を窘めた。 『考え過ぎなもんかよ。  あの隠してる手が、焦れ焦れしまくってるってのに…。  一旦懐に入れちまうと警戒解いちまうんだもんな…』  ガルガルと威嚇しながら瑠維を膝に乗せる。  腕の中に囲い込み、余計な手出しはさせないとばかりに睨みをきかせて。  守られている安心感からか、コクコクとジュースを飲む瑠維。 「………………れい…?」  不思議そうに見上げる無防備な顔。  ほんのり淡く染まった頬。  はふぅ…とついた息が妙に色香を纏っている。  ごろごろと咽を鳴らす猫のように玲に頬を擦り寄せた。 「瑠維、お前…。まさか…」 「なぁに?れいぃ…」  にこぉっと笑う顔、間延びした口調…。  明らかにほろ酔い状態だ。 『や、やべぇ…、マジかよ…っ』  焦る玲を見上げて無邪気に笑う瑠維。  既に萌え猫モードに切り替わってしまったようだ。

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