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瑠維が手にしているグラスを引ったくり、トロリとした水蜜桃のジュースを口に含む。
「……………………」
甘さに隠れて、ほんのり咽を焼く感触。
明らかにアルコールが入っている。
ほんの少量だが。
「れぇい…?」
「お前な…、あれだけ酒を飲むなっつったろ」
「………………?
おしゃけ………、ろんでないも……。
はふぅ…ん…」
目許をホワリと染め、頬を膨らます瑠維。
その色香を纏う瑠維を見て、小鳥遊家の面々は目が点だ。
「嘘…。
そんなに入れてないのに…」
「うわー。
あの量を混ぜただけで酔っ払うなんてマジかよ…」
「酒豪揃いの我が家には、新鮮過ぎるんじゃない?」
「可愛い…っ」
口々に驚きの声を漏らす兄妹を睨み、玲は瑠維を肩に担いでリビングに上がった。
「れいぃ…?
らんで? まだはやいろ…?」
「いいから」
上体を凭れさせると、瑠維はそのまま素直に身を預ける。
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