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 身じろぎした華奢な体。  瑠維が目覚めたのだと気付き、玲も目を開けた。 「ん?  まだ日付も変わってねえぞ?  なんで起きちまってんだよ、お前…」  クスリと笑って髪を撫でてやると、気持ち良さそうに目を細める。 「だって…、今日は玲の誕生日だろ?  いっぱい喜ばせたいって思うし、大事にしたいんだ…。  なのに、俺………っ」  キュウッと背中に回した手でシャツを掴む。  伴侶を大事にしたいのに、互いに中心を愛でただけで寝てしまった自分。  玲を悦ばせきれていない。  なのに、甘やかされている…。 「俺を放ったらかしにして寝ちまった、………ってか?」 「ん」 「俺を大事にしきれてないって思ったのか?」 「うん…」  泣きそうな顔で見つめる瑠維を宥めるように撫でてやり、玲は額に口づけを落とす。 「酔っ払って、可愛い萌え猫になったのを見せてくれたろ?  健気に俺のを咥えてもくれたじゃねえか。  あれだけのエロいお前を披露されて、萌えも喜びもしない亭主だと思ってんのか?  お前のする事全部が萌えなんだぜ?」  優しく微笑み、玲はもう一度口づけを落とした。

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