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「煌さん」
「はっ、はいぃっ!!」
「ごめんなさい」
「「……………………っ!?」」
呆気に取られたままの煌に向き直り、瑠維はペコリと頭を下げた。
「兄弟だから、よく分かってるって思います。
玲は時々乱暴だけど、患者さんや俺と一緒の時は優しいんです。
ただ、俺に関してだけ……、俺が危なっかしいから、守んなきゃいけないって強く思うだけなんです。
キツイ言葉を言ったのも、絶対本心じゃないんです。
俺っ、代わりに謝りますっ。
ホントにすいません」
目の前で瑠維が頭を下げたのを見て、玲の怒りのボルテージは一気に下がった。
「いや、その、きみが頭を下げなくていいんだよ。
俺が小動物っけに負けてフラフラしちゃったから悪いんだし。
それにさ。
独占欲丸出しで玲が怒るのを、俺…初めて見たんだ。
あれだけの剣幕で怒るくらい、大事にしたい伴侶に巡りあえた玲は、ホントに幸せなんだなって。
だから、謝るのは無し」
「煌さん…」
「よく気がつくし、しっかり支えてくれるいい嫁さんだよな。
意地っ張りなお前のことも、よくわかってくれてるし。
安心したよ、俺」
ニッコリ笑う煌が立ち上がり、玲の肩をポンポンと叩いた。
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