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◆◇◆◇◆  アクシデントがあったものの、小鳥遊家で穏やかな時間を過ごせた二人は、自宅に帰ってきた。 「ふふ…っ」  ワイシャツ一枚羽織ったきりの瑠維は、玲の膝の上で身をよじる。 「こら、動くなよ」 「無理…。 だって、凄く擽ったい…っ。  それに、もう痺れてないって」  薄紅の花びらが散った脚を玲は一生懸命摩っている。  小鳥遊家で膝枕をしたまま二人で長いこと寝入ってしまい、瑠維の両足の感覚が無くなったからだ。 「だってな、お前の足…、すっげぇ色になってたじゃねえかっ」  血流が戻ったあと、両足がしびしびと痺れて瑠維が擽ったがった。  家に着いてから、慌ててジーンズを引っこ抜き、玲はひたすらベッドの上で足を摩っていたのだ。  肌の色も普通になり、本人が痺れも取れたと言っても、心配でならないらしい。 「玲…。  俺さ、玲のこと膝枕して凄く幸せな気持ちだったし、こうして一生懸命摩って貰えて…、嬉し過ぎてなんか………、どうにかなっちゃいそ…」  玲に凭れ、瑠維はホウと息をつく。  肌の上を滑る玲の手の感触が、ズクリと体の芯を疼かせてならないから…。

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