121 / 262

「………僕が女の子だったら、こんなふうに龍嗣の赤ちゃん産めてたかなぁ…」  ボソリと璃音が呟いた言葉に、瑠璃の心臓が跳ねた。  伴侶と同じ性でなければ、自分もこうして子供を抱けただろうかと、漠然と思っていたからだ。 「……………」  愛しい伴侶の命を未来に繋げる事ができない。  どんなに深い愛情を抱いても、それだけは叶わない現実…。 「俺も…。  俺もあの二人の子供を産みたいって、何度も思った。  でも、これだけは叶わないんだよなぁ…」  琥珀の背中を撫でながら、想いを口にする。 「玲の子供だったらこうなんだろうなとか、忍の子供だったらこうなんじゃないかなとか、想像したりしてさ…。  でも、現実には無理だって思い出して泣けてくる…」 「僕もそう…。  龍嗣の赤ちゃんだったらどんなかなって…。  雪や雫みたいに可能性があったら、どんなに良かっただろうって思ったりしてね…」  ほろ…。  ほろほろ…。  知らず知らずのうちに涙がこぼれる。  伴侶達は、決して二人を責めたりしない。  深い愛情を注いでくれる。  その愛情が深ければ深いほど、愛しい伴侶の血を引いた命を残したかったと思うのだ…。

ともだちにシェアしよう!