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「俺さ…、今度生まれてくる時は、絶対伴侶の子供を産みたいな…。」 「わかる、それ…。  目茶苦茶好きな相手の命だったら、未来に繋げて行きたいって思うよね…。」  今、腕の中にいる弟妹が、もし自分と伴侶の間に芽生えた命であったなら…。  きっと沢山の愛情を注いで育んでいただろう。  生まれ出たなら、伴侶とともに惜しみ無く愛情を注いで育てただろう…。 「玲も忍もさ、子供がいなくても構わないって言ってくれる。  お前がいればそれでいいって。  俺達は、瑠維だからいいんだって。」 「龍嗣もね、僕に言った…。  自分はヤキモチ妬きだから、子供にきっと嫉妬する。  二人でいるからいいんだって。  ずっと独り占めできるからいいって。  でも、時々思うよ。  赤ちゃんを産めたらなぁって…。」  無い物ねだりだとわかっているのだ。  命を生み出せる構造の体ではないのだから。  それでも、やはり思ってしまう。  身の内に孕んだ伴侶への愛情を形にできたなら、どれだけよかったのだろうと…。  しんみりした空気の中、玄関の方で音がした。

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