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「だから、あの後に改装したじゃないですか。
研究室と社長室の壁を取っ払って、お互いの姿が見えるように…」
「あれこそ、蛇の生殺しでしょ?
ガラス越しに龍嗣が見えるから、余計に焦れ焦れさせられちゃってるんだから。
やっぱり、お義兄さんってドSなんじゃないの?」
あっけに取られる二人の前で、忍と璃音はポンポン言い合う。
如何にどちらが酷いのかと訴えているようだが、瑠維と玲から見たら結論は同じだ。
「「どっちもどっちなんじゃ…」」
「酷っ。
僕って、そんなに我が儘っ!?」
「こっちはそんなに鬼畜じゃありませんよっ」
「僕だって、年中サカッてなんかないし」
「そこまで言ってないですって」
珊瑚と琥珀を起こさないように小声で繰り広げられるバトルは、普段の忍と璃音からは想像もつかない。
「こらこら。
そんなにヒートアップしたら、小さいのが起きてしまうだろう?」
「龍嗣…」
「旦那様…」
いつの間に来ていたのだろう。
リビングの入口に苦笑いしながら龍嗣が立っていた。
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