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「判ってることなんだ…」
「ん?」
「判ってるんだ………絶対叶わないことなんだって…。
無い物ねだりだって判ってても、どうしても…」
ほろ。
ほろほろ。
潤んだ瞳から涙がこぼれ。
「うわ、瑠維っ!!」
「ど、どうしたんだ一体!?」
つられて、瑠維も大粒の涙をポロポロと零した。
◆◇◆◇◆
「なるほど…。
涙の理由はそれだったのか…」
泣き出した二人から漸く話を聞きだし、三人は肩を竦めた。
普段の愛情の深さも尽くしっぷりも半端ないというのに、どれだけ伴侶を愛しても、命を未来に繋げる事が出来ない事に心を痛めていたと知り、その健気さに愛しさが更に募る。
「前にも言ったと思うが、私は璃音を知ってからかなり酷いヤキモチ妬きになった。
その私が、自分の血を分けた子供とは言え、腕に抱いていたり、肌に触れているのを我慢出来ると思うかい?」
「でも…っ」
「我が子と妻を本気で取り合うなんて、最低の父親になる事間違い無しだ。
だから、今の独り占めの状態がベストなんだよ」
悪戯っぽく笑う龍嗣に、璃音は目をパチクリさせた。
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