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「ほう…、子供が欲しい……とな?」
仕事上がりの荊櫻が、ドッカと椅子に座った。
三人から瑠維と璃音の話を聞き、ふむふむと手を顎に当てる。
「水上の子供…、いや、各務の家に生まれた子供は、伴侶に尽くしまくるのが一番の喜びだ。
極上の快楽に導き、巨万の富を捧げ、嫁ぎ先に繁栄を呼び込む。
繁栄の中には子孫を残す事も含まれるからな…。
二人が子供を欲しがるのは、至極当然の成り行きとも言える」
アイスティーを一口飲み、荊櫻は呟いた。
「でもさ、鬼夜叉…。 同じ各務だけど、忍は違うんじゃねえの?」
「ああ。 そりゃそうだろ。
子どもを熱望するのは、受け身の立場の方だ。
乗っかる方は、伴侶をめっためったに甘やかしたがる傾向にある」
「そうなんだ…」
「瑠維と璃音は特に血が濃いから、お前達が必要ないと言っても心底からは納得出来ないだろうな。
伴侶至上主義の徹底っぷりが半端ないから」
「「………」」
生まれ持った性質が大きく関わっているから、どうしても尽くしまくる方向になってしまう…。
それはもう、仕方のない事だと言いたいのだろう。
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