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あの時は半ば強制的に体を開かれた。
今の二人は決してそんな事はしない。
どくん。
どくん…っ。
それが判っているのに、胸がギュウギュウして痛い。
怖い。
あの時から成長していない心を何かに暴かれているようで、胸が苦しくて辛い。
キィ…。
ゆっくりとドアが開かれ、ライトがつく。
「怖くないから、入っておいで」
先を行く忍が優しく誘う。
「…………」
「大丈夫。 俺達はもう怖い想いはさせない」
後ろから、玲が支える。
「「ゆっくりでいい。 俺達の手を取れ」」
差し延べられた二人の手に、そっと両手を預ける。
「怖くしない」
「痛くなんかしない」
「……………ん」
小さく頷き、息をつく。
二人が約束を違(たが)えた事はない。
信じてついていけばいいのだと、足を踏み出す。
ふわり…。
「へ…………?」
真っ白な色彩が視界に入った。
「う…わぁ……」
室内にあったのは、キングサイズの寝台と、幾重にも重なる清楚なレースと紗(うすぎぬ)の天蓋だった。
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