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「違う。  酔狂で譲った訳じゃないんだ。  俺達の気持ちをわかった上で、大事な場所を譲ってくれたんだぜ」 「そういうこと。  俺達が悔やんでる部分に気付いてくれて、瑠維がもっと幸せになる為に使って欲しいと言っていた。  瑠維に対しての慰謝料としては、安すぎる位だとも言っていたよ」 「慰…謝料……?」  訳がわからない。  璃音を傷付けた自分が償わなければならない筈なのに、何故あの二人が慰謝料と言うのか…? 「璃音が言ってた。  瑠維の心を深く傷付けてしまった。  自分がうまく立ち回れなかったから、瑠維は初めてなのに怖くて痛い思いもしなきゃならなかった。  方向が違ってたなら、瑠維は痛い思いをせずに済んでた、…ってな」 「…………っ」 「初めて体を開くなら、痛くせずに大事に扱われなきゃいけない。  なのに、瑠維は痛い目に遭った。  それは自分の責任だと…」 「……違…っ。  違う…。  あの時は、俺がキレて璃音を…。  だから、痛い思いをするのは当たり前だったんだ…。  なのに、なんで…、なんで自分のせいだって言うんだよ…」  気持ちの遣りようがなく、息が苦しい。  胸が痛い。  痛くて仕方ない。

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