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「璃音も、エロ魔神も気付いてた。
俺達がお互いに罪悪感を抱えたままだって。
だから、ここをくれたんだ」
「………っ」
「お互いに間違えてた事があるなら、初めに戻ったつもりで気持ちを伝えろと。
関係が始まった場所だからこそ、大事にしてほしいと言っていたよ」
「………」
それを言うなら、璃音達だって当て嵌まるのではないのか。
ここは、借金を完済した後に璃音が改めて龍嗣に告白し、恋人としての関係をスタートさせた場所だ。
しかも、龍嗣が璃音にプロポーズをした場所でもある。
あの二人にとっても、大事な、大事な場所ではないか…。
受け取れない。
受け取れる筈がない…。
受け取っていいなんて、思える筈がない。
俯く瑠維を優しく撫でてやり、忍が胸ポケットから封筒を取り出した。
「瑠維、璃音から預かって来た。
読んでごらん」
「………うん」
差し出された封筒を開け、便箋を引き出す。
男らしい堂々とした字は龍嗣。
生真面目で、少し流麗な字は璃音。
そこには、二人が瑠維に対して抱いている想いや、真摯な願いが綴られていた。
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