140 / 262
・
「………っ」
瑠維を責める事も無く、幸せになれ、気掛かりだった事を忘れて伴侶達を篭絡しろと…。
龍嗣の手紙も、璃音の手紙も、優しい気持ちだけが書かれていた。
「馬鹿だな…。
俺がしちゃった事、全部スルーして……」
ほろ。
ほろほろ。
「瑠維…」
「だってさ、全部忘れるなんてできるわけ…ね…のに…」
「いいんじゃねえのか?
あの二人がそれでいいって言ってんなら」
「………っ」
「そうだな。
珊瑚と琥珀の手術の時に、全部水に流したと思っているのかもしれない。
なら、お前も引きずるのをやめて、幸せになったところを見せて安心させてやればいいんじゃないか…?」
「…………っ。
そ…な、都合よすぎ…」
「都合良く受け取っちまえ。
せっかくの誕生日なんだからさ」
チュ。
「それもそうだな。
瑠維の誕生日なんだから、あの二人からの豪華なプレゼントついでに、都合良く受け取ってしまおう」
チュ。
「………………誕生日プレゼントに、別荘贈る規格外れの奴なんかいないよ…」
頬を膨らませて拗ねた顔をしているのに、二人の伴侶は優しい顔で微笑んでくれた。
ともだちにシェアしよう!