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「いるじゃねえか」
「お前の弟が、な…」
半ば拗ねた瑠維の言葉を、玲と忍が引き継いだ。
「……………」
「何だかんだ理由付けちゃいるが、璃音も鬼夜叉もお前を甘やかしてえだけだと思うぜ」
「確かに。
設計中の病院の厨房なんか、一流ホテルも真っ青になるくらいの設備突っ込もうとしてるんだから」
「……………っ、……な、なんだよそれ……っ」
妙に逸れた話が可笑しくて、つい吹き出しそうになる。
「だってな、最新式の設備にしようとしたり、厨房のすぐ近くに全天候対応の農場とか作ろうなんて言ってるんだぜ?」
「で、元々買ってた敷地に嵌まり切らなくなって、慌てて追加で土地を買い足したり。
それも、璃音の小遣いから出すとか言ってたような…」
金銭と常識に無頓着な母と弟の姿が目の前にありありと浮かぶようで、だんだん腹筋が震えてきた。
「………………っぷ…。
…かっ、金の遣い方おかしいって…っ!!
なんだよ、それ…っ!!
ふふ…、あはははは………っ」
苦笑いする二人に、とうとう瑠維が我慢の限界を超えた。
「そうそう、そうやって笑ってるのが一番なんだよ、瑠維は」
「余計な遠慮や、気兼ねなんか必要ねえのさ」
漸く笑った瑠維に、二人は口づけを幾つも落としてくれた。
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