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チョコよりも甘い夜
コトコトコト…。
ストーブの上にかけた鍋からは、美味しい香りが漂って来る。
しっかり隠し包丁を入れた手羽中は、きっとホロホロ骨から肉が離れるくらい、いい具合に煮えている筈だ。
「ふふ…」
忍と玲が食べたいとリクエストしたのは、手羽中の入った具だくさんのスープ。
じっくり時間をかけたから、きっと美味しく仕上がるに違いない。
喜ぶ二人の顔を妄想…、いや、想像すると、頬が緩んで仕方ないのだが、瑠維は頭を振ってそれを振り切る。
何せ今日は結婚してから初めてのバレンタインデーなのだから、気合いの入りようが違うのだ…。
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