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学園都市の中にある美術館。 四月と五月の企画展は、「季節の花々と恋の風景」だった。 絵だけではなく、彫刻や硝子細工や銀線細工まで展示されている。 「うわぁ…っ」 溢れる程の美しい花々に、瑠維の瞳が輝いた。 一つ一つをじっくり見ていても、忍は急かすことなく待っていてくれる。 待ちくたびれていないかと慌てて見上げると、いつもは例利な瞳が穏やかだった。 「大丈夫。ゆっくり堪能しよう」 優しい声で囁かれて、瑠維の心臓はバクバクと跳ねて仕方ない。

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