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第一章・5
結局雪緒は少年のお勧めで、赤と白のキクに、桃色のストックを加えた花束を作ってもらった。
花束ができるまで、ドキドキしながら迷っていた。
(どうしよう。言おうかな。でも、恥ずかしいな)
言葉は喉まで出かかっているのに、声が押し出されて来ない。
『僕に似合う花、ってありますか?』
そんな質問を、したかった。
彼なら、花言葉にちなんだ一輪を選んでくれるに違いない。
でも、今日初めて会った人にそんなこと訊ねるのは、照れくさい。
「おまちどおさまでした」
そうこうするうちに、花束ができてしまった。
「あ、ありがとうございます」
キクの花を手渡す時に、少年はピンクのチューリップを添えて来た。
「たくさん買っていただいたので、これはオマケです」
「いいんですか?」
「どうぞ」
お礼を言って、雪緒は店を出た。
少年は、入り口まで見送ってくれた。
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