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第一章・6

「えっと。チューリップの花言葉は……」  祖母宅へ着き、仏壇に花を飾ると、雪緒は急いでスマホで花言葉を調べた。 「ピンクのチューリップの花言葉は」  どきん、と雪緒の心臓は激しく鳴った。 『愛の芽生え』 「うそ。やだ。ええっ、ホント!?」  見悶えするような歓喜が、湧いてくる。  まるで一目惚れのように、胸に飛び込んできた店員さん。  彼も、僕と同じことを考えていてくれたなんて!  雪緒は、大切に大切に、ピンクのチューリップを花瓶に活けた。 「名前、聞いておけばよかったな。学校、どこに通ってるのかな」  どうしよう。  明日、もう一度あの花屋さんへ行ってみようかな。  僕もあなたのことが気になってたんです、って言おうかな。  その晩は、興奮してなかなか寝付けない雪緒だった。

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