9 / 61
第二章 好きになっちゃった!
再会は、あっけないほど早くやってきた。
張り出された2年生のクラス編成に、雪緒と凌介の名前が並んでいたのだ。
「まさか、同じクラスになるなんて」
顔を熱く火照らせている雪緒の肩に、誰かが軽くぶつかった。
「あ、ごめん。って、あれ?」
「あぁ! 波多くん!?」
「あの時の、お客様!」
その節は、毎度ありがとうございます、と頭を下げる凌介だ。
そして、ごちそうさまでした、とお礼を言った。
「マドレーヌ、美味かったよ」
「よかった」
「それで、あの、さ。君の名前は?」
「あ、あの。新見。新見 雪緒」
雪緒、って呼んでもいい?
そんな凌介の言葉に、腰が砕けそうだった。
「俺のことも、凌介でいいから」
「う、うん」
あぁ、こんな気持ち初めて。
中学校で押しに押されて付き合った先輩にも、こんな風にときめいたことはなかった。
(これが僕の、初恋なのかもしれない)
そんな心地を味わいながら、凌介と共に教室へ入った。
ともだちにシェアしよう!