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第二章・3
「に、新見 雪緒です。部活は、してません。あと、花が好きです。以上!」
拍手に混じって、草野の声が響いた。
「新見は、男なのに花が好きなのか?」
笑いが起こり、雪緒は下を向いてしまった。
(ああ、やっぱり言うんじゃなかった!)
笑いを鎮めたのは、凌介の大声だった。
「波多 凌介です。フラワーアレンジメント同好会所属、家は花屋。俺も、花が大好きです!」
体格がよく、いかにも男らしい凌介がそう言ったことには、皆が驚いた。
拍手が上がり、今度は草野も黙ったままだった。
(凌介、ありがとう)
そっと後ろを向くと、凌介は親指を立てて来た。
うん、とうなずき、雪緒は微笑んだ。
草野先生は苦手だけど、凌介が一緒なんだから素敵なクラスになりそう。
そんな予感を覚えながら、今度は一人で深くうなずいた。
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