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第二章・4
ねえ、凌介。
雪緒がそう声をかけたのは、掃除の時間だった。
外庭掃除の当番だった二人は、教師に草むしりを言いつけられ、せっせと雑草を抜いていた。
「こういう野の花にも、花言葉はあるの?」
雪緒の手には、シロツメクサの花が。
「あ、あるぜ」
「ふぅん。どういう?」
凌介の仕草は、何やらおかしい。
上を向いて見たり、下を向いて見たり。
そわそわと、落ち着きがない。
「シロツメクサの花言葉は、『私を想って』だよ」
「え……」
途端に、雪緒も赤くなった。
まさか、何気なく差し出した花に、そんな意味があるなんて!
「これ、もらってもいいか?」
凌介が、手を伸ばす。
「……いいよ」
雪緒から凌介に花が渡され、二人の間はあったかい空気で満たされた。
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