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第二章・5

「あ、あの、さ。雪緒も入んないか? 同好会」  甘い空気を無理にかき分け、凌介が明るい声を出した。 「同好会、って。フラワーアレンジメント?」 「そう。楽しいぜ。部員はほとんど女子だけど」  こういうシロツメクサなども、立派にアレンジできる、と凌介は言う。 「マグカップなんかに、いろんな野の花を挿してさ。結構イケるぜ」 「楽しそうだね」  花の話になると、活き活きと眼を輝かせる凌介が眩しい。  雪緒はその姿を見たいがために、入部を決めた。 (ちょっと動機が不純かなぁ)  その日の放課後、野の花をたくさん摘んで、雪緒は同好会の部室を訪れた。  凌介の言った通り、部屋は女子ばかり。  思い思いの花を手に、籐で編んだ籠や水盤に花を飾っている。  その中に、凌介の姿もあった。 「ここは、もう少し丈の長い花がいいぜ。全体を見て、バランスを取ってくれ」 「は~い」  ふと凌介が顔を上げ、雪緒と目が合った。 「あ! 来てくれたんだな!」 「よろしく」  新しく入部した雪緒に、好奇の目が注がれる。  ひそひそと、小声が聞こえる。

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