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第三章・3

『凌介……、キス、巧いんだね……』 『そうでもないさ』 『あ、ダメ。そんなトコ』 『雪緒のこと、もっと知りたいんだ』 『あ、ぁん! はぁ、はぁ、凌介ぇ……』 『雪緒……』  鎮まれ、俺!  治まれ、妄想!  自分がその気満々でも、雪緒に嫌がられたらお終いじゃないか!  凌介は邪な考えを振り払おうと、脳内で童謡を熱唱し始めた。 『カラス~、なぜ鳴くの~。カラスは山に~♪』  しかし、目の前の席には雪緒が座っている。 (う、うなじ! 細い肩! 背筋のライン!) 「ね、凌介。班に分かれて、班長とか決めるんだって。行こう」 「ん。ちょっと今、動けないんだ。皆に、ここへ集まってもらえないかな」 「?」  人は集まってくれたが、話などできる状態ではない凌介だった。

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