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第四章 こんな時にこんなトコで……

 沢登りを早く済ませた連中は、体育館でバレーボールなどやって遊んでいた。 「何て奴らだ、全く!」  憤る凌介だったが、今は雪緒の治療が最優先だ。  医務室を探して、医療スタッフに彼を託した。 「筋や骨に異常はないみたいだね。湿布をして、しばらく様子を見よう」 「ありがとうございます」 「担任の先生には、もう伝えたかな?」 「あ、まだです。凌介、悪いけど行ってくれるかな」  いいけど、と言葉を濁す凌介に、雪緒は不安を感じた。 「凌介。僕がケガしたのは、あくまで自分の不注意だから。先生のせいじゃないから、ね」 「解ってるよ」  平常心、平常心、と心の中で唱えながら、凌介は体育館へ向かった。  草野の性格からすると、そこで生徒たちとバレーボールをしているはずだ。  案の定、能天気に遊ぶ担任の姿がそこにはあった。

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