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第四章・3
夕食の時刻になっても、雪緒は班に戻ってこなかった。
もしかして班長か草野が用意したかもしれない、と思いつつも、凌介は一人分の食事をトレイに乗せて医務室へ運んだ。
「あ、凌介」
「雪緒、夕食は?」
「まだだけど」
(クッソ! どいつもこいつも気が利かないったら!)
「持ってきてやったぞ」
「わぁ、ありがとう!」
それを見て、医療スタッフが凌介に声をかけて来た。
「君、よかったら新見くんを見ててくれないかな。私も、夕食がまだなんだ」
「あ、どうぞ」
1時間くらいで戻るからね、とスタッフは部屋を出ていった。
「ちゃんと仕事してるのは、ここのスタッフさんくらいなもの……、って。早ッ!」
雪緒は、凌介の運んだ食事をすでに終えようとしていた。
「お腹すいてたんだ~」
「食欲があるのは、いいことだ」
顔色も、よくなった。
「足の腫れ、退いた?」
「見てみようか」
湿布の張られた雪緒の生足は、白くて綺麗だった。
柔らかそうなふくらはぎ……、キュッと締まった足首……。
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