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第四章・4
(この展開は、まずい!)
凌介は、教室での女子の会話を思い出していた。
『ねぇ、いい機会だから、キスくらいしなよ。ミツ』
『う~ん。どうしようかな~』
『キス以上の関係になっても、いいかもよ!?』
『ヤだ~。もう、やめてよ~』
まずい、のか?
いや、千載一遇のチャンスなのでは!?
何も知らない雪緒は、無邪気なものだ。
「もう、あんまり腫れてないみたい。よかった」
「……」
「凌介?」
顔を上げて、雪緒は息を呑んだ。
(こ、こんなに近くに凌介の顔がある!)
しかも、軽く瞼つむってるし!
「雪緒」
「凌介……」
魅入られるように、雪緒も凌介に近づいた。
二人の唇が、そっと重なった。
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