37 / 61

第五章・6

 床に就いた凌介と雪緒は、赤くなっていた。  何だか、あの1時間が嘘みたい。  でも、アソコがじんじんする。  疼いて、熱くなってる。 「現実、だよね」  小声で、自分に確かめた。  春休みに出会ってから、まだ1ヶ月も経たないのに、もうエッチしちゃった。 「しかも、自然の家の医務室で、なんて」  どうしてこんなに慌ただしく、急いじゃったんだろう。  デートして、手を繋いで、キスして。  それから、どちらかの部屋で結ばれる。  それが普通の手順なのに。 「……雪緒、もう寝た?」 「まだだよ」  隣の布団から、もぞりと凌介が身を乗り出してきた。 「あのさ、後悔、とかしてない?」 「後悔?」 「いや、あの。俺、あの時のぼせ上ってて。我慢できなくって。ごめん」 「謝らないでよ。素敵だった」 「本心?」 「うん。ドキドキ、した」  そう、僕は凌介が大好き。  だったら、どこでどんな風に結ばれたって、それはすごく素敵なことなんだ。

ともだちにシェアしよう!