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第六章・4

 遠くに見える、凌介の笑顔。  炎に映えて、とても綺麗だ。    だけど、僕以外の人と踊ってる。  何だか鼻の奥がツンとしてきた時、ダンスを終えた凌介が駆けて来た。 「雪緒、お待たせ。さ、踊ろうぜ」 「今更、何だよ。全くもう」 「あ、もしかして、妬いてくれた?」 「違うよ!」  ラストダンスだ、と凌介は手を差し伸べた。 「これだけは、雪緒と踊るって決めてたんだ」 「あ……」  雪緒は、よろりと立ち上がった。 「足、まだ痛いだろ? 最後の一曲でいいから、俺と踊ってくれ」 「うん!」  二人で手を取り合い、音楽に乗って踊った。 「きつかったら、俺に体預けていいから」 「ありがとう」  凌介の胸は、広かった。  少し焦げ臭い、炎の香り。  ああ、僕幸せ……。  揺れる音楽に、揺れる炎に身を任せて、二人は踊った。

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