43 / 61
第六章・5
深夜、雪緒は凌介に起こされた。
「な、雪緒。ちょっと抜け出さないか?」
「外へ?」
うん、と言う凌介は、もう半身を起こしている。
周囲からは寝息やいびきが聞こえ、誰かにとがめられることもなさそうだ。
「じゃあ、ちょっとだけ」
「よし、行こう」
部屋を抜け出し、凌介に連れて来られたのは屋上だった。
「少し冷えるな。大丈夫か?」
「うん、平気」
「上、見てみろよ」
「うわぁ……」
満天の星空。
どれが一等星か解らないくらい、全ての星々が煌めいていた。
「山は、これがいいんだよな。まず市街地では見られないからなぁ」
「うん、うん!」
すごく素敵だ、と雪緒は流れ星に祈った。
(どうか、このままずっと凌介と一緒にいられますように……)
「何、お願いしたんだ?」
「ふふっ、内緒」
ともだちにシェアしよう!