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第六章・6
ことん、と雪緒は凌介の肩にもたれた。
「凌介、あったかいね」
「やっぱ、少し寒いのか?」
「うん、でも少しだけだから」
「俺が、温めてやる」
凌介の長い腕が、雪緒をしっかり抱きしめた。
「凌介」
「雪緒、好きだ」
出会ってから一ヶ月も経たないけど、ものすごく好きだ。
あの凌介が、花言葉に頼らずに愛を伝えてくれている。
そのことが、雪緒を喜ばせた。
素直な本心をぶつけて来る凌介の真心が、嬉しかった。
「凌介、キスして」
囁くような雪緒の声に、凌介は静かに応えた。
軽くついばむように、数回のキス。
その後、二人は深く繋がった。
「ん、ぅん。ふ、ぁん……」
静かな星空に、雪緒の声が吸い込まれていくようだ。
濡れたキスの音が、届くようだ。
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