51 / 61
第七章・5
二者面談は毎日進み、いよいよ雪緒の番がまわってきた。
「失礼します」
生徒指導室のドアをノックし、中へ入ると草野が待っていた。
「よし、新見。そこへ座れ」
はい、と雪緒は大人しく草野の正面に腰かけた。
「始めよう。新見は、進路をどう考えてるんだ?
「進学したいと思ってます。第一志望は……」
草野の質問に答えたり、成績表を見て合格水準を確かめたりと、雪緒の面談は進んでいった。
何の問題もなく、終わりが近づいていた。
だがしかし。
「じゃあ、進路の話はここまでだ」
「はい?」
他に、何かあるのかな?
そう思った時、雪緒は草野に両手を握られていた。
「新見。先生のこと、どう思う?」
「ど、どう、って」
「先生は、新見のことが好きだ!」
「えええッ!?」
「大人の付き合いをして欲しい!」
そ、そんな!?
ともだちにシェアしよう!