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第七章・6
「先生のお気持ちは嬉しいですけど! ぼ、僕ほかに好きな人がいますから!」
「……波多か? そうだろう」
なぜ、それを!?
「先生が、何も知らないと思っているな?」
おもむろにスマホを取り出した草野は、それを雪緒に突き付けた。
暗い画面だが、ところどころに立ったガーデンライトで人が二人動いているのが解る。
「……あっ!?」
雪緒は息を呑み、次いで耳を紅くした。
そこに映っているのは、キャンプの夜の自分と凌介だったのだ!
『あぁんッ! やっ、イヤぁ! あぁ、す、ごいぃ……ッ!』
『雪緒、何か別のこと考えてたろ。ダメだぜ、俺以外のこと、考えちゃ!』
『あッ、あッ、あぁんッ! 凌介ぇえ!』
『キツいけど、すげぇ締め付けて来るぞ』
『こんなの、ダメぇえ! お、おかしくなっちゃうぅ!』
『この締め付け、クセになりそう』
『あ、あ、ふッ! な、内で擦れて……、気持ち、い……ッ!』
画像だけでなく、真っ盛りの生々しい声や音が、しっかりと拾われている。
(まさか、草野先生が覗いてたなんて!)
「へ、変態!」
「変態? 先生にそんな口をきいてもいいと思っているのか?」
ねっとりと絡んでくる草野の視線に、雪緒は怯んだ。
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