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第八章・6

 翌日、雪緒は凌介の待つ店を訪れた。 「よお、来てくれたか!」  嬉しそうな、凌介の顔。  よかった。  その笑顔が見られただけでも、来たかいがあった。 「渡したいもの、って。何?」 「う、うん。実は、これ」  そうして凌介は、作業台の裏に隠してあった花束を出した。 「う、わぁ……」  それは、見事な赤いバラの大きな花束だった。 「ちょっと重いけど、受け取ってくれるか?」  無数の赤い、バラ、バラ、バラ。 「これ、一体何本あるの!?」 「へへっ。99本」 「そんなに!?」  でも、なぜ100本じゃないんだろう。半端な99本に、意味があるのかな? 「凌介、赤いバラ99本の花言葉は何?」 「……永遠の愛、だ」

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