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3、香さんの家へ

1週間後、注文があった服を届ける為 香さんに書いてもらった地図を元に 歩いていると、大きい屋敷が見えた。 「ここ、かな?」 まるで皇宮のような広さの屋敷は 両班でさえ住めない。この家の 主、つまり香さんの夫は武官・文官 ということだ。 諒は少し緊張した面持ちで屋敷の 前に立っている監視人にここへ 来た目的を話した。 すでに話は聞いていたようで 香さんがいる部屋へと案内された。 「あら、来てくれたのね! わざわざ遠くまでありがとう」 「いえ、今日は休みなので大丈夫 ですよ。商品はこちらです。 あと、こちらは同じ生地で 造った小物入れです。いつも お世話になっているので」 「か、かわいい!こういう気のきく 事されちゃうと、他のお店で 買えなくなるわ」 香は、諒が店を始めた時からの お得意様で月に数回訪れている。 また、諒が奴婢の為に活動を していることを知っている為 日持ちする食料や生地を 提供していた。

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