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5、緊張する諒
「君の父は皇宮で働いているのか。
通りで、作法が分かる訳だ」
香の夫である将の表情は先程よりも
柔らかくなっていた。皇宮の情報が
少しでも漏れる事はご法度だった為
諒に話を聞こうと思ったのだ。
「民に知られてはいけない事
なのですね。気をつけます」
「君の父上は皇宮の者に会うこと
はないと思い、伝えなかった
のだろうな。しかし、よく私が
皇宮の者だと分かったな」
「屋敷の大きさと将さんが身に付いて
いる衣装で分かりました」
将は諒の洞察力に感心すると共に
奴婢の為にしている活動にも触れた。
「君は15歳で店を経営し、奴婢の
為に服や食料を無償で提供する
とは。頭が上がらないな」
「弱者に優しくしなさいと父から
教えられ、自分に出来る事を
しているだけです。父には
内緒にしていますが、皇宮で
奴婢の地位向上の為に働き
たいと思っています」
諒の目標を聞いた将は、皇宮の
細かい作法や言葉使いを教え
色々な部署の役割を教えた。
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