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GAME2:Commentator by KANARIA
「ご心配をおかけしました」
翌日、病院から戻ってきたおれを待っていたのは、険しい顔のハルくんだった。
頭をさげるおれをじっと見つめ、はぁと小さくため息をつく。リビングのソファに深く腰かけ、長い足を組んでおれを見つめる様は、こんな時だというのに腹がたつほど絵になっていて、少しだけムッとする。180を越える身長も、長い手足も、艶のあるバリトンも、ぜんぶぜんぶおれにはないもので、それを見せつけられるといつだって無性に腹がたってしまうのを、いいかげんなんとかしたいと思うんだけど……今は腹をたててる場合じゃないか。
ハルくんが怒ってるなんて、余程のことだ。
「あの……ハルくん? お、怒ってる?」
「怒ってる」
だよねー。ですよねー。すんごい迷惑と心配かけちゃったみたいだから、ハルくんが怒るのも無理はない。派手な赤毛が燃えてるみたいに見えて、どうしていいかわからずそっと視線を逸らす。
「まぁいいや。カナさん、ちょっと来て」
立ちあがったハルくんがキッチンへと向かっていく。なんだろう。水責めかな。洗面器に顔突っ込まれるのかな。普段のおふざけモード全開のハルくんならやりかねないけど、今はどうなんだろう。
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