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GAME3

 午前一時すぎ。なにか飲み物でも取ってこようと編集部屋を出た、その時だった。隣の部屋、つまりカナさんの部屋から、すすり泣きのような声が聞こえぎょっとする。 「……」  処理中だったらどうしよう。そんなことを思いながらも、どうしてもそういう声には聞こえず、泣いているかのような声が気になって、おれはそっとカナさんの部屋の前に立ち、ドアに耳を押し付けた。  鼻をすするような音が聞こえ、意を決してコツンとノックをひとつ。 「……カナさん? どした?」  返事がない代わりに、ドアになにかがガツッと当たる音……いや、なんで。なんだか知らないがカナさんはご立腹らしい。 「……開けるよー」  声をかけドアを開くと、足もとには箱ティッシュ。そして、カナさんは布団に全身を隠し、小さな山と化していた――。

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