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GAME4

 ハルくんの大きな手がおれの頭をぽんぽんとする。優しいぽんぽんと、ハルくんの低い声に安心感を覚え、次第に涙も引っ込んでいく。なんだかんだでハルくんは優しいのだ。普段は子供より子供で、手のつけられないいたずらっ子だけど、空気を読むことに長けているし、絶対に人のことを悪く言ったりもしない。気のいい優しいやつ。そう、だから……ハルくんとなら一緒に住んでも大丈夫かなって思えたんだ。 「泣きやんだ? とりあえず……なんか飲も? 脱水になっちゃうよ」  待っててとハルくんが部屋を出ていく。優しい。つうか、おれ迷惑かけっぱなしだ。ハルくんのせいとか言ったけど、そんなはずがない。むしろ自分のせいだ。細かいことが気になって、すぐに人に対しても壁を作ってしまって、いい人気取りで繕って……本当の自分がどこにいるのかすらわからない。  だけどハルくんだけは違っていて、あいつはおれが作る壁を見事にぶち壊して、なつっこい大型犬みたいに飛び込んできてくれた。だから、ハルくんとならうまくいくって思ってたのに、おれは自分が思う以上に繊細らしい。 「カナさん、はい」  ハルくんが戻ってきて、スポーツドリンクを手渡してくれる。ベッドに腰かけたハルくんは、やっぱりモデルみたいで、派手な赤毛がやけにまぶしい。 「ねえ?」 「うん」 「デリヘルでも呼ぶ?」 「っ、ば、ばかか! なんで、そうなるんだよ!」

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