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序奏(2)
そして、妖狐族・第一王子である暁には、父の跡取りとして同族を守るという宿命と共に、妖狐族の後継者として、この地さえも保護しなければならない。
なぜなら、この地は他の星とは違い、何の保護もされてはいない、むき出しの星だからである。
高い山に真っ青な空。天からの恩恵で降り注ぐ水は『雨』と呼ばれ、優しい大地を潤す。
ここはたくさんの種族が集う、楽園とも詠われる場所だった。だから、幾度となく悪魔から狙われ続けていた。
そのため、暁は、父、祇王 から常に妖力の使い方を教えられ、真の強さを求められて育った。
この地で平和に暮らしている他の種族さえも守れるようにと……。
――暁には亡き父親と母親の他に、弟が三人いる。
歳は自分と十ほど離れた冷静沈着な二番目の弟である紅 。
その紅よりもさらに三十歳離れた単刀直入な物言いをする弟の朱 。
そして……二十四歳になる末っ子、甘えん坊の古都 だ。
実を言えば、父親と母親が死した原因は、その末の弟に関係するものだった。
弟、古都には幼なじみの妖狐神楽 がいた。
過去形なのは、この世界で生きてはいるものの、妖狐族から種族の剥奪 されたためだ。
――妖狐族。
長年生き続けた狐が知恵を持ち、妖力をつけた存在である。その長い命は他の種族とは違い、特化していた。
妖狐の婚姻も特殊なもので、生涯を共に過ごすと一度決断すると、永遠を誓わなければならない。
そんな花嫁の探し方も、他の種族とは違う。
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